大学時代と一般就職時代の経験から、私は自分のピアノ演奏を大事にしたいだけでなく、心理的なことも含めて、「人」に興味があるのだと思います。そんな「人」への興味からか、子ども達への指導はとりわけ楽しく感じます。小さくても人格があるし、一人一人違うので、同じ指導というわけにはいきません。十把一絡げにできないし、そこには親御さん達の想いも絡んできます。
楽器演奏は、辛抱強く長い時間をかけないと技術をものにできません。その間に、勉強や遊びやその他のことに興味の対象が移ってしまい、ピアノへのモチベーションを維持するのは大変なことです。 「弾きたい気持ち」があれば継続できるのに。 その思いから、私自身が受けてきた単なる演奏技術を高めるピアノ指導だけではなくて、もう少し広い視点から子どもたちに教えたいと考えています。
リトミックの勉強を始めたころと同時期に、自分の幼い二人の娘を育てていて、二人の性格も練習の仕方もまるで違っていたことも、大きな経験でした。そのあと産まれた三番目の娘もさらに違う。同じ人間から生まれた子どもでも、これほど違う!当然、三人の娘たちへは、アプローチもそれぞれ変わります。性格の違いや何に興味を持っているか、観察しながら教え方を創意工夫。娘たち(一番うえの娘はもう二十歳…)は、自分で楽しむくらいには、ピアノを弾けるようになりました。弾き方や表現の仕方はまったく違うけれど…。
そんな経験からも、やり方次第でモチベーションを高めることはできるとわかり、生徒さんたちにも、「弾きたい気持ち」を持ち続けてもらいたいと強く思ったのです。生徒さんたちに接する時間は、一緒に生活する自分の娘たちほどはもちろんありません。それでも、注意深く接しながら、タイプ別に一人一人にあった方法を考えて、ピアノや楽器への興味を深めてあげられたらと思うのです。そのためにも自分も教師として、引き出しを広げながら、成長していかなくてはと思います。