わたしが考える楽器習得その1

教えるにあたって何が重要と考えているか、思いを書き綴りました。
ちょっと長いのですが、読んでみてくださいね。

「弾きたい気持ち」を
子どもたちと一緒に育む

大学時代と一般就職時代の経験から、私は自分のピアノ演奏を大事にしたいだけでなく、心理的なことも含めて、「人」に興味があるのだと思います。そんな「人」への興味からか、子ども達への指導はとりわけ楽しく感じます。小さくても人格があるし、一人一人違うので、同じ指導というわけにはいきません。十把一絡げにできないし、そこには親御さん達の想いも絡んできます。

楽器演奏は、辛抱強く長い時間をかけないと技術をものにできません。その間に、勉強や遊びやその他のことに興味の対象が移ってしまい、ピアノへのモチベーションを維持するのは大変なことです。 「弾きたい気持ち」があれば継続できるのに。 その思いから、私自身が受けてきた単なる演奏技術を高めるピアノ指導だけではなくて、もう少し広い視点から子どもたちに教えたいと考えています。

リトミックの勉強を始めたころと同時期に、自分の幼い二人の娘を育てていて、二人の性格も練習の仕方もまるで違っていたことも、大きな経験でした。そのあと産まれた三番目の娘もさらに違う。同じ人間から生まれた子どもでも、これほど違う!当然、三人の娘たちへは、アプローチもそれぞれ変わります。性格の違いや何に興味を持っているか、観察しながら教え方を創意工夫。娘たち(一番うえの娘はもう二十歳…)は、自分で楽しむくらいには、ピアノを弾けるようになりました。弾き方や表現の仕方はまったく違うけれど…。

そんな経験からも、やり方次第でモチベーションを高めることはできるとわかり、生徒さんたちにも、「弾きたい気持ち」を持ち続けてもらいたいと強く思ったのです。生徒さんたちに接する時間は、一緒に生活する自分の娘たちほどはもちろんありません。それでも、注意深く接しながら、タイプ別に一人一人にあった方法を考えて、ピアノや楽器への興味を深めてあげられたらと思うのです。そのためにも自分も教師として、引き出しを広げながら、成長していかなくてはと思います。


平面の楽譜から
三次元的に考える力をつける

2020年現在、ピアノ教室をはじめて二十年、リトミックを導入して十五年以上の時間が経ちました。ピアノ指導とリトミック指導の根本はまるっきり違うということもわかり、ならばどう融合させたらいいのか?ということを、いまでも常に考えています。

おかげさまで教室には常時たくさんの生徒さんがいて、ご家族のみなさまや生徒さんそれぞれと向き合うことで、様々なことを教えていただいています。そこから、リトミック的にはこうしよう、ならば、ピアノの視点からは?など、構想を練りながらの毎日です。

ピアノ演奏にリトミック的要素がどのように結びつくか、ピアノ講師の視点から考えました。総じていえることは、音楽は「動き」であるということ。平面の楽譜を読み解いてただ弾くのではなく、三次元的に考えなくてはいけないということです。

楽譜を読み解くことやテクニックはピアノレッスンで十分できますが、小手先の演奏にならないようにするために、「空間をきちんと使える」「身体から湧き出る何かをパフォーマンスできるようにする」、そのためのリトミックだと考えます。表現豊かな演奏は実際に聴く人の心を打ちますし、演奏者も明らかに達成感を持って次に繋げられます。

短絡的に「間違えずに弾けた」イコール「いい演奏」ではありません。奏でる音楽を「自分らしく起こす」ことが必要です。単純に理論や座学だけでなく、人との関わり合いで培われた心の奥行きが、音楽表現を豊かにしてくれます。

そこを育むためのグループとしての音楽活動。一人ではなく、たくさんの仲間とやることで自身をみつける、そのための「一歳からのリトミック」なのです。

わたしが考える楽器習得その2

音楽は「動き」で奏でるもの。それを身につけるためには、じっくり向き合える環境が大切です。
そのためのコミュニケーションの取り方や考え方について。

教える側が、教わる側に
向き合うことの重要さ

一番大切なことは、どうしたら継続して、音楽的自立(一人で楽譜を読み、膨らませ、感動する演奏ができること)にたどり着けるのかということを、ご家族のお考えを聞きながら、一緒に組み立てていくことです。 教える側にありがちな、こちらの考えや想いを理解してもらう、それに合わせてもらうという一方的なやり方では、「向かない方はお断り」になりがちですし、「音楽的自立」に辿り着けません。

成長していく過程で、話し、聞き、環境にあわせてアップデートしていく、という柔軟な対応が大事です。 どうしてそこまで向き合うのかというと、音楽を学ぶということが、ひとりの人間を形成する上で、とても重要な役割を果たすという意識があるからです。

「その子のための着地点」を
一緒に考える

楽器習得にかかる時間は約十年と考えていて、その間にいろいろな環境の変化も起こります。コンスタントに弾き続けるにはおうちの方の忍耐力も大事。楽譜を読み解く、演奏できるということはその子にとって「大きな財産」を残 してあげることになります。誰も取りこぼしたくはありません。とにかく、十年おつきあいしてもらう、積み上げる大切さ、諦めないこと。教室を巣立っていく生徒さんたちは、みんな大きなことをやり切った!という顔をしています。

よく、自分は習っていたけど向かなかった、やめてしまった、という話を聞きます。向き不向きがあると思われがちですが、不器用な子でも、弾けるようになる方法はいくらでもあると思うのです。 周りの大人が誰かと比べてしまったり、その子の音楽観を否定してしまったり。そんなつもりはなくとも、些細なことがきっかけで、せっかく始めたのにやり切らないで終わりにするなんて、もったいない!お稽古ですからいずれ卒業していくわけですが、その子の着地点、ゴールが決められればと考えます。 

子どもが人として成長する
十年という時間

十年ものあいだ一人の生徒さんと関わるということ、ピアノ講師という仕事は、子どもが人として成長していく過程に関わる貴重な仕事だと感じています。単に演奏技術を教えるだけではないのです。ピアノのみならず、何かに向き合う姿勢というのは、どんなことにもつながります。

練習を常に前向きに頑張り続けられたら素晴らしいことですが、人間ですからそこが難しいわけで、立ち止まってしまうこともあります。そのときに、学ぶことを諦めてしまうのではなく、一緒に方法を考える。グループのお稽古の中でも、それぞれの変化を感じ取って対処する。できない、気持ちがない、自分を持て余している時に、指導する側としてどう向き合うのか。子どもの気持ちを考えながら、そのときどきに対応できる柔軟な姿勢で向き合います。

楽器を体系的に学ぶ


わたしが主催する「音のみるふぃ〜ゆ」は音楽総合教室として、リトミックで幼少期からのリズムを習得し、それらを元に楽器演奏につなげていきます。また、ソルフェージュなど座学も交えて、音楽を理論で理解することで、体系的な学習を実現していきます。

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わたしのこと


仙田 麗子
1975生まれ
Family
板長(夫)と3人の娘たち
Hobby
・ピアノをつらつら弾くこと
・映画鑑賞
子どもの頃からこれまで、どんな風に音楽に触れてきたか、ふり返りました。

4歳からグループで音楽を習い始める。

5歳にして感銘を受けた曲は、当時「ぷらいまりー」という教本に載っていた「Ob la di Ob la da(オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」。それがビートルズの名曲だと知ったのは中学生の頃。 6歳からピアノの個人レッスンを受ける。指の形、腕の使い方を徹底的に直されつつ、決して英才教育ではない環境でのびのびと、好き放題ピアノを弾き、常日頃から「れいちゃんは、じょうずね〜」と母から褒められ?おだてられたおかげで、すっかり「私ってうまいかも」と勘違い。

10歳くらいには、即興で伴奏をつけては流行りの歌を大熱唱。自分の世界観に満足。だれかに認められなくても、家では天下で自己満足。 そんなに音楽が好きなら、と中学生の時に音大付属のお教室に入室。ところが!!そこでスパルタの先生と出会い、体育会系のノリでがっつりしごかれる。

高校は、普通科の都立高校に進学。 「はて?そこまで、ピアノ、好きなのかしら」と、ふと思ってしまったのは、音大進学を決めた高校2年生の頃。 迷いつつも進んだ音楽大学で、たくさんのコンクールやコンペティションを勝ち抜いてきた強者が揃っている門下にうっかり入門してしまい、やっぱり、気持ち的な挫折を味わう。 私はクラシックではない、もっとポピュラーでジャジーで!と、クラシックのなんたるかも知らない若造なりに、もがき苦しみながらの4年間であった。

そのあとは一般就職を経験し、「外には7人の敵がいる」と社会の厳しさを味わいつつも、営業職の面白さも味わう。ただし、日常の業務に追われ、まるでピアノと向き合う時間がないことに淋しさを感じ、個人経営のピアノ教室に転職した矢先に結婚。


長女が誕生し、子育てしながらピアノを続けるにはと考えた結果、ピアノ教室を開くことに。 ピアノの教室が軌道に乗り始めたころに、次女誕生。 子育てをしながら、自分の娘たちを研究材料に、リトミックの勉強も始める。

リトミック教室を開いたきっかけは、幼いころの音楽教育からピアノ教室につなげられるのではないかと、単純に、漠然と思ったから。(後々、ピアノ教室にも大きな影響を与えることになるのだが…) もちろん、良き相棒であるN先生が背中を押してくれたのは言うまでもない。

N先生とは、最初のお稽古こそ下手なコントのような絡みであったが、徐々に二人で一心同体のようなレッスンが心地よくなり、半年後には、まるで予測していなかった30名を抱える教室となって驚く。そんな中、三女を出産。子育てと教室の両立が、よりハードに…。

1歳の頃から育てた生徒さん達のピアノ演奏が、素晴らしく表現豊かだと気づき、いろいろな方面からピアノ演奏を「良く」するための勉強に目覚めて、小学生のグループレッスンも開始。 たくさんの先生の教えと手ほどきを参考に、自分が学んだことを教室でどんどん実践していくうちに、5年目には100名を超える教室に。

たくさんの生徒さんを支えるには、もっと多くの優秀な先生が必要、といろいろな先生とコラボを始める。 2020年現在、試行錯誤しながら、楽しく愉快に「音のみるふぃ〜ゆ」を運営。

音みるは、2020年で15周年です。みんな、遊びにきてね。
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